Amazonバッテリーその後

ドンキ MUGA ストイックPC4 のバッテリー U328513PV-2S がだめになって、Amazon で互換バッテリーを買ったのが 2023年5月25日のことでした。

Amazonバッテリー

無事換装を終えたその約1年後、2024年7月撮影時点でこんな感じです。

約1年後の姿

実際にはこの数か月前から膨らんできていて筐体が壊れないようにネジを外していましたから、1年くらいの寿命ということだと思います。
ちなみに中身はこんな感じ。

バッテリーの様子

もうパンパンです。
1年13,550円、なかなかお財布に厳しいです。

“大体”互換バッテリー

ドンキ MUGA ストイックPC4 のバッテリーの型番 U328513PV-2S を検索すると、互換バッテリーが海外通販などでもそこそこヒットするものの、なんかコネクタのピンアサインが違っていて、ピンアサインまで合っているものは Amazon にしか無かったというのが前回までのお話でした。

上段::海外互換?バッテリー 下段:オリジナル

とは言えまた13550円は出せませんので、ついに海外通販に手を出しました。

コネクタ違いの U328513PV-2S 互換バッテリー

ピンアサインは違っても、バッテリーセル自体の仕様は同等なはずです。たぶん。
そのまま使えるような互換品ではないけど大体合ってる品なので大体互換品と言うことにします。
送料を入れて大体 $31、ドル150円としても 4700円くらいですから、Amazon の 1/3 です。納期は長めに出るのですが、今回は 8/10 に注文したものが 8/22 に届いています。

基板移植法

とりあえずバッテリーセルは互換だろうということで、バッテリーの基板をオリジナルのものに交換するアプローチでいきます。次の章で回路を読み取ってもう少しエレガントな方法での対応を検討しますので、この章はすっ飛ばしても構いません。

結論から言うと、この方法はおすすめしません。
この方法で移植を完了させても、安全性への懸念が残ります。

まずは到着したバッテリーです。10-pin 9-wire のものを選んでいます。

到着したバッテリー U3285131PV-2S 10-pin 9-wire

こいつの皮をむいて、基板を外します。

バッテリーの基板を取り外す 1
バッテリーの基板を取り外す 2

取り外す際には、+/- のマーキングをしたり、テープで絶縁したり、バッテリーのタブはできるだけ長く残るようにしながら、ショートさせないよう注意深く作業します。

続いてスポット溶接機を取り出し、リード線をタブに溶接していきます。
ちなみにこいつも海外通販で買って、なんだかんだ使う機会も無く今か今かと出番を待っていたものです。

スポット溶接機
リード線、半田メッキ付
タブに溶接
溶接完了

バッテリーのタブへの半田付けは避けてください。
半田付けの熱でバッテリーセルにダメージがあり、事故の原因になります。
なのでスポット溶接機が無いならこの方法は行えません。

そしてオリジナルの基板に接続。これは半田付けでいいです。

オリジナル基板に接続

そして組み付けて完了。線がはみ出してるのはご愛嬌です。

組付け
PC上で確認

これで完了です。一度全部放電してから充電しなおします。というわけで、強引ではありますが一応ピンアサイン違いのバッテリーを流用することはできました。
ただ電気的には問題無いと思うものの、熱的には懸念が残ります
この基板にはサーミスタが乗っていて温度を検出できるようになっているようですが、バッテリーパックの被覆を切り開いているので、バッテリーパックとしての温度特性が期待と異なっている可能性があります。
温度による制御が正常に働かないかもしれないので、この方法はおすすめしません

エレガント法

バッテリーパック自体を分解することなく、ピンアサインだけ変更できればこんなにエレガントなことはありません。というわけで、どんなピンアサインになっているのか解析します。

オリジナルバッテリーについては前回解析済みで、こんな感じでした。

オリジナルバッテリー

そして、Amazonにある普通の互換バッテリーと、その他の大体互換バッテリーはとても雰囲気が似ていて、基板自体はこんな感じです。

上段:互換バッテリー 下段:大体互換バッテリー

上段の R3 R6 R5 と下段の R4 R5 R6 はそれぞれ対応していると思われます。
多少不明な点がありながらも回路図を起こした結果、保護回路部分は同等でしたので、コネクタ周りの回路だけを並べるとこんな感じです。

各バッテリーのコネクタ周り

オリジナルバッテリーと互換バッテリーの白線に繋がる抵抗が 1KΩ と 10kΩ とで違いがありますが、互換を謳っているわけですからここは問題無いのでしょう。もしかしたら使用しているサーミスタと何らかのバランスを取った値なのかもしれません。
そして互換バッテリーと大体互換バッテリーとでは、基板のレイアウトもよく似ていますし回路も同一なのでコネクタ違いのバリエーションに簡単に対応できるようになっていると思われます。つまり海外には MUGA PC4 向けコネクタのラインナップはありませんが、国内流通の互換バッテリーと同じように接続すれば互換バッテリーになるのだと考えられます。

結局のところ次のように繋いでしまえばよくて、

大体互換バッテリー(10-pin 9-wire)から互換配線へ

整理すると、

STEP1
青線を抜いて、絶縁
抜け止めを軽く押し上げて線を引けば抜けます
抜けたらこの線はテープでも巻いて絶縁します
STEP2
黄線を抜いて、黒線側に寄せる
黄線も同じように抜いて、
黒線側に寄せて挿し直して完成

これで大体互換バッテリーが互換バッテリーになるんじゃないか、ということになります。
赤線は1本減ってしまいますし色の並びも違いはしますが、回路的には問題無いはず。たぶん。

この方法はまだ試していませんので、本当に動作するかは分かりません
試すのであれば記事での解析結果や考え方を確認し、自己責任のもと実施願います。

ひとまず検証待ち

というわけで、国内販売のドンキ MUGA ストイックPC4 の互換バッテリーを海外から安く調達する算段が経ちましたので、あとは実際にやってみるだけです。今のところ基板移植法で処理したバッテリーが動いているので、エレガント法での検証は来年くらいでしょうか。
物持ちいいんでその時もまだドンキPC を使っていると思いますので、しばらくお待ちください。


このシリーズ

Amazon で買った互換バッテリーへの換装とオリジナルバッテリーの解析をしています
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